film
作詞・作曲/三井拓郎
編曲/pertorika

ひとりでカメラ片手にあぜ道を歩いていく
フレームにちょうど収まる小さな物語が始まる

防波堤に吹いた潮風 塗り立てのペンキをそっと乾かせて
僕の心もついでに 乾かせてほしい

そっと回り出す季節の中で 絵本のページをめくるように進んでいく

小さなため息空に放って 灰色の雲打ち払って
海から吹く夏の香りに胸踊らせて 歩いていく
風に吹かれて小さな枯葉滑り出す

波がさらう 今までつけて来た足跡海の底へ
弾け出す泡が ひとつひとつ僕のメロディーになっていく

朝目が覚めて深呼吸してみる これから始まる一日が楽しみさ

転ばぬように疲れぬように 歩いていくのもいいかもね
こぼさぬように割れないように 大切なもの握りしめて

八月の風に吹かれてそよぐ君の髪はまるで蜃気楼 僕の手をすり抜け
これで季節がまた一つ終わる そんな気がした
雨に打たれ

「帰っておいで」そんな言葉をたまにふっと 思い出して
遠くの地で待っている人のことを想って 生きていく